先日 こちらの記事で研究会に参加したことを書きましたが、スピーカーだった研究員の方がジョブ・カードを研究されているとのことで、昨年度までジョブ・カードを使ったセルフ・キャリアドック面談をしていたので、何かご協力できればと名刺交換をしました。
メールでやり取りをしている際に、ジョブ・カードもスタディログのようにデータベース化すればいいという話をしたら、もっと話を聞かせてほしいとなり、労働政策研究機構にお邪魔することになりました😁
ところでジョブ・カードって何?
厚生労働省のジョブ・カード制度総合サイトには以下の記載があります。
ジョブ・カードとは、以下のとおり、「生涯を通じたキャリア・プランニング」及び「職業能力証明」の機能を担うツールであり、個人のキャリアアップや、多様な人材の円滑な就職等を促進するため、労働市場インフラとして、キャリアコンサルティング等の個人への相談支援のもと、求職活動、職業能力開発などの各場面において活用するものです。
①生涯を通じたキャリア・プランニング
キャリアコンサルティング等の支援の前提となる個人の履歴や、支援を通じた職業経験の棚卸し、職業生活設計等の情報を蓄積し、訓練の受講、キャリア選択等の生涯のキャリア形成の場面において活用する「生涯を通じたキャリア・プランニング」のツール
②職業能力証明
免許・資格、教育(学習)・訓練歴、職務経験、教育・訓練成果の評価、職場での仕事振りの評価に関する職業能力証明の情報を蓄積し、場面・用途等に応じて情報を抽出・編集し、求職活動の際の応募書類、キャリアコンサルティングの際の資料等として活用する、職業能力を見える化した「職業能力証明」のツール
つまり、人々の職業に対しての「能力の証明」と「生涯のプランニング」ができるツールであるということ。と明示されています。
ちなみに、歴史は意外と長く、キャリアコンサルタントの資格ができるよりももっと前、2008年にジョブ・カードが作られ、その後改訂が入り、2017年から「新ジョブ・カード」が運用されているようです。
本当に「能力の証明」「生涯のプランニング」ができるのか?
とはいえ、今のジョブ・カードは、
- 電子化とは言っても、
ただPCのソフトで作れるというだけ - 履歴書として企業にエントリーできるところが少ない
- 煩雑(シートが多い)で、出力して書くにも、PCで書くにも、どのファイルが何の項目を聞いているのか混乱する
- そもそもあまり普及していない
といった課題が挙げられると思います。
ジョブ・カードを作ることで能力の証明ができるかといったら、自己の棚卸しはできるけれど、客観的にその能力が証明できるかといえばそうでもなく、自己の棚卸しだけなら職歴書・職歴書との違いは何?という話や、生涯のプランニングまで幅広い話となると、キャリアコンサルタントと一緒に書き上げる必要があるように思います。
研究員の方にお伝えしたこと
現場でジョブ・カードを使っていて感じたことを踏まえ、研究員の方と話したことは、
●ジョブカードは今は、ただの記録でしかない。アナログで作っているのと同じなので、自分の棚卸しにしかならない。データベース化することで、項目ごとに抽出できるようにすれば、例えば転職の際に必要な項目を抽出して職歴書や自己PR書みたいなものを作ったり、企業側も「この項目とこの項目を面接で持ってきて」のような使い方ができるのでは?ということ。
●年に2回くらい、職務ややってきた業務などを更新することで、職種・職務・業種・年齢・勤続年数などが似ている方と掛け合わせて成長プランを描いたり、生産性を測ったり、スキルの到達レベルなどもチェックできるのでは?
というような話をしてきました。
厚労省はこのような動画もつくって、がんばっています。
まとめ
研究員の方からは「研究者っぽい抽象度の高い話が聴けてよかった」とおっしゃっていただけました。
キャリアは学問ではないので、スタディログのように一概に、実行してデータ取って課題見つけて…というPDCAサイクルに当てはまらないのかもしれませんが、何十万という労働者が作成しているのであれば、データを活用しない手はないようにも思います。もちろん個人情報などはそこに入力をしないなどリスクヘッジは要検討だと思いますが、個人個人が同じツールを持っているのなら、そういう活用も視野に入れてはどうかなと思いました。
余談
この機構は、高田馬場からのんびり揺られること15分(くらい?)石神井の閑静な住宅街を抜けるとありました。ここの図書館にしかないキャリアの本などもあり、大学生などが調べに来るそうです。日々キャリアや労働環境などを研究している方から貴重な経験ができてよかったです。
謝礼で「OHBYカード」ももらえました~。学びが繋がっていく感じ、ワクワクします✨