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「キャリアコンサルティングの現状と課題」研究会まとめメモ

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学ぶこと

教育ソリューションEXPOでの学びも、興味深く楽しかったのですが、
(講演内容は こちら をご覧ください)

立て続けに、次は法政大学のキャリアデザイン研究会での「キャリアコンサルティングの現状と課題」という、こちらもかなり興味深いテーマの発表に参加してきました。

詳細の研究資料を元に、研究員の方がわかりやすい語り口で、キャリコンの今を語ってくださいました。

その内容は大まかに以下です。

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誰がどこで何を相談しているのか?

1)キャリコン経験者は
→年齢が若い層、大企業・高年収・大卒・ホワイトカラー層、男性は女性の1.4倍
2)経験の有無に影響を与える要因
→影響の大きい順に、年齢、学歴、転職経験、性別、勤続年数
3)まとめると、
企業外キャリコン→男性・大卒・院卒・高年収、正社員・転職経験あり=転職エージェント利用
企業内キャリコン→大企業、転職経験なし
公的機関=女性・中高卒・中小企業・低年収・非正規・転職経験あり

4)キャリコン未経験者に相談ニーズがあるのか訪ねたら
→ニーズ自体は10%~20% 年齢が若いほど、女性のニーズは高い
→ただし、この「ニーズ」は、悩みが何もなければ、10%~20%だが、会社側からのサポートが少ないなど、不安・不満があるときには30%~40%のニーズに変わる。

キャリアコンサルティングは本当に効果があるのか?

1)経験者の70%弱が「問題は解決した」と回答。
2)経験者の60%強が「変化した」と回答し、うち40%が「将来のことがはっきりした」と回答。
3)キャリコン経験者の約60%が「とても役立った+役立った」と回答。
4)傾向スコアマッチング法による厳密なキャリコンの効果検証をすると、
  ①「キャリアに関する相談の専門家」=キャリアコンサルタント
  ②「キャリア以外の相談の専門家」=一般的なカウンセラー
  ③「その他の関連する担当者」=大学キャリアセンター職員、会社の人事担当社員など
①に相談経験がある場合、満足度が高く、正規就労しており、年収が高く、昇進している。など総じて現在の状態は良好だった。

また、企業内・外のキャリコン専門家への相談で、顕著に異なるのは「転職経験」。企業内で相談をすると、転職は少なくなり、人材が流出しにくくなる。

キャリコンの活動状況:どの領域でのびているのか?

1)2006年調査では、男性が58%、女性が42%だったが、2017年調査では、男性45%、女性55%
2)2006年調査と比較して、企業が37%(+13)、大学が20%(+5)、公的機関16%(-15)民間就職支援機関16%(-2)
→質的に見た場合、その他の領域が大幅に拡大。
例:医療機関、福祉施設、障害者支援、自治体など
3)発達障害の方の支援に難しさを抱えているキャリコンが多い(2006年と比較して、14ポイントUP)

課題は?

1)キャリコンの偏在・格差
→キャリコンを受けやすい対象層がある(男性、若年、大卒、高年収、正社員、大企業、都市部など)
→専門的な相談サービスを受けやすい環境で働く人が、専門的なサービスを受けて、より良い環境で働いている。
→逆に言えば、対象ではない層も、キャリコンを受ける機会を設けて、そのループに乗せれば良い循環に入るのでは。格差是正。

2)キャリコンのニーズ
キャリア相談の利用率、ニーズは、時代を問わずおおむね1割、2割。これはゴールキーパー理論で考える。
→ニーズが多すぎる=企業組織の仕組みでは解決できない個別問題がキャリコンにまでやってくる。ゴールキーパー(キャリコン)が大活躍している場合、守備(組織内)のシステムが改善されるはず。(キーパーが5割も6割も活躍するチームがないのと同じ。

3)効果測定の問題
相談文化がない人は、何を言っても受け入れない(否定的)な人も多い。
効果を見せる=エビデンス(証拠)の有無が問題ではなく、なぜキャリコンを導入する必要があるのか?のラショナーレ(根拠)が求められる。

まとめ

「キャリコンでは、食べていけない」
「キャリコンを取っても就職先がない」という話はよく聞き、たしかに正直なところ一理ありますが(大学キャリアセンターの求人で、1名枠に対して50名の応募って言われたこともあります)
1・性別、年代、キャリコンを受けたことのあるキャリコンをすると、企業(従業員)にとって効果が上がることは自明
2・むしろ、キャリコン導入することによる効果やメリットを伝えることではなく、導入しないデメリット、リスク、理由を伝えていく

この2点に勇気づけられました。